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ジェニファーとベンは、ボストンから戻ると友人たちとのディナーの席で婚約したことを伝えた。
ジャスミンもピーターも自分たちのことのように喜んでくれた。その日のディナーはグラマシーパークホテルのマイヤリーノでみんなでワイワイとワインを良く飲み夜が更けていった。

素晴らしいホテルのイタリアンなのに、このカジュアルさが気に入っていた。
美味しくてカッコいいレストランなのに、カジュアルだからジェニファーは買ったばかりの新しいジーンズHIP STARを履いてきていた。ヒップのポケットが高い位置についていてスタイルが良く見えるから最近のお気に入りだった。

ジャスミンはいまの時期でも着やすい白のウールサーマルのニットを着ていた。程よい透け感があってカジュアルになりがちなサーマルの印象を上品にしていた。

みんなで、マイヤリーノを出ると小雨が降っていた。酔いを醒ますのにちょうどいい雨だった。みんなでそろそろと次の店へと歩き出す中、ピーターがベンの肩に腕を回す。二人でジーンケリーの雨に唄えばを口ずさみ、ダイナーへと急いだ。

ダイナーで飲むアメリカンコーヒーと安ぽいチェリーパイが、飲んだあとは何ともちょうど良かった。
ダイナーに移動したあとも会話に花が咲き、夜は更けていく。ファッション、インテリア、スポーツ、話題には事欠かない気の合う仲間達だった。誰とともなく、「また会おう」と席を立つ。ジェニファーとベンもそれに続いて、外に出ると雨は上がり風が少し冷たく、もう空が群青色に色付いていた。肌寒く感じるジェニファーに、ベンがロロピアーナのカシミアを使ったニットを肩に掛けてくれた。ベンがつけるバレードのウッドイモーテルの香水がニットから香り安心する。

レジデンスに帰るとベンはランニングショーツに着替えて明るくなる空に向けて走りはじめた。仲間と過ごし、自分たちの婚約を喜んでくれる仲間がいることが素直に嬉しくて眠れそうになかった。思い切り汗がをかく頃に戻り、シャワーを浴びる。ようやくクールダウンしたのかベッドに入る気になった。ベッドではジェニファーは愛犬のトムと寝ている。起きないように静かにベッドに潜り込む、気がついたら時計は11時頃だった。ジェニファーが簡単な朝食とコーヒーを用意してくれていた。二人で休日の今日をどう過ごそうか話しているうちに、部屋の模様替えでもしようかという話になった。ベンの部屋で一緒に暮らすようになってしばらく経つが、婚約したことだし二人の好みに変えようということで、まずはペンダントライトなどの照明を買いに行こうということになった。

ジェニファーが好きなスカンジナビアンヴィンテージの名店のWYETHへ見に行くことに。お目当のヴィルヘルム ラウリッツェンのペンダントランプとポールヘニングセンのコントラストのどちらかがあればいいなと思ったら、さすがWYETH、両方とも在庫している。どちらも甲乙つけ難く素敵なランプ。迷うジェニファーのそばで今度はベンがいいソファを見つけてしまった。これだから家具屋に来ると怖い、目的のもの以外で欲しいものをいくつも見つけてしまう。それはポールケアフォルムのPK31のコニャックブラウンレザーの3人掛けだった。ブラックはすでに持っていて、状態の良いコニャックが見つかったらいつか欲しいなと考えていた。これはランプどころの金額ではなくて、大変なことになってきたぞとベンが一人で深呼吸をしている。それを見たジェニファーがクスクスと笑い、落ち着きましょと一度カフェでお茶をすることにした。そうこの流れは買い物で大物を買うときのお決まりの流れに乗っている。ランプを買いにきてソファを買ってしまう、良いモノとの出会いなんてこんなもの。

ジェニファーが気に入っているんだから、ベンにとってもうそのソファはもう間違いのない選択だった。