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2020 PRE SPRING
This season's story
ソファで寝落ちしてしまったベンにブランケットをかけるジェニファー。フィービーファイロがデザインしていた頃にパリのセリーヌで購入したお気に入りのチェックのブランケット。ここのところ大きなプロジェクトが重なって進行しているせいか、レジデンスに戻ってからワインを一杯飲みかけるとウトウトしてしまう。着実にクライアントの希望を叶え期待以上の設計を丁寧に手掛けてきたことが今日のベンを作っている。そんな確かな仕事が評価され新聞や雑誌の取材なども増えて、忙しくも充実したベン。
婚約してからしばらくたち、そろそろ結婚式について話したいと思いながらもジェニファーはベンに話すタイミングを見つけられずにいた。派手な結婚式はしたくないけど、今までの感謝を家族や親しい友人や同僚に伝える機会が欲しいと考えていた。

そんなジェニファーの気持ちをベンは十分に理解していた。この忙しさは自分を成長させてくれるとても良い機会だけど、もう少し自分のペースを大切にして仕事ができる環境を整えないとジェニファーとの結婚が良いものに出来ないことも理解していた。だからこのプロジェクトに目処がついたら、今の設計事務所から独立して自分の事務所を一人でスタートさせようと決心していた。このレジデンスも引き払い、ヴィンテージの家具も全て売り払い、独立資金を捻出してゼロからスタートをしようと決めていた。だからこそ今の設計事務所に恩返しするためにも進行しているプロジェクトを最高のものにすることに集中していた。

目がさめるとうっすらと空が明るくなり始めていた。

ベッドで眠るジェニファーの足元で愛犬のトムが丸くなっている。シャワーを浴びてオレンジを3つカットして絞り喉を潤す。コーヒーマシーンをセットしているとジェニファーも起きてきた。朝の慌ただしい時間ではゆっくりと話すことが出来ない。意を決し今日の夜ジェニファーに考えを話すことにしよう。

「今日の夜はチャイナタウンで食事しない?」と誘うベン。「そしたら少し早めに私が帰ってきてトムのご飯をあげてから行くから7時でどう?」。チャイナタウンなら畏まった感じにならないから、大事な話ほどこんなフランクな店を選ぶことにしていた。

仕事から戻ったジェニファーは、トムにお気入りのフードをあげるとチャイナタウンに向かうために着替えることに。
最近買ったばかりのブラックレザーのパンツに着替える。90年代のスーパーモデル、クリスティー・ターリントンがいかにも着ていそうな感じだから「クリスティパンツ」と呼んでいる。デニムのスリムカットオフのようなデザインで毎日穿けそうなレザーパンツに、まとめ買いしたロンTを着る。ロンTって本当に便利でTシャツ以上に活躍する気がするから何枚でも欲しくなる。この合わせがオフの時のお気に入り。それにちょっとブリティッシュな「メイフェアコート」というテントラインのコートを羽織る。ライナーが取り外せるから長い期間着られて便利なコート。ポケットが多いから財布やケータイや鍵など手ぶらで歩けることも気に入っていた。

財布も手ぶらの時はLittle One Vintageのコイン&カードケースがこの上なく重宝していた。
以前Prelovedで購入したブラックのヴィンテージコンバースのハイカットを合わせたら、さぁ出発。

何気ないいつものチャイナタウンのディナーで、ベンの気持ちを聞いてジェニファーは二人の将来を真剣に考えてくれていることが心底嬉しくてたまらなかった。ここまで考えているベンに対しジェニファーは結婚式の話をするのはもう少しだけ先にして、テーブルに運ばれた熱々の小籠包を頬張ることにした。